デビュー作にしてこの完成度!
「何者かになりたい」もがく青年の焦燥と絶望を強烈な冗長さで描く幻のデビュー作。
どこまでもくだらない設定と呆れるほどバカバカしい登場人物たちの行動は、やがて現代人の抱える人間関係と心理を深くえぐり出していく。
大江健三郎を継ぐ天才がここにいる。今、必読の一冊。
"科挙ガチ”『清朝時代にタイムスリップしたので科挙ガチってみた』(集英社)、『シン・サークルクラッシャー麻紀』(破滅派)、『アドルムコ会全史』(代わりに読む人)などで、いま文芸界で熱い注目を集めている才能の一人、佐川恭一。多くのファンから渇望されながらも長らく入手困難となっていたデビュー作『終わりなき不在』を、装いも新たに文庫版としてリリース。
就職した銀行を一年で辞め、仕事も恋人も失った自堕落な青年は小説家を目指す。その果てに何が待っているかも知らずに……。「文章を書くためだけに脳をカスタマイズされ他の能力を全てスポイルされた俺という怪物の書く小説が、なぜ他者の作品に劣るのか?」
迷走する自意識、崩壊するモラトリアム。これは悲劇か? それとも喜劇なのか? 泣いた方がいいのか? 笑っていいのか? 渦巻くような自意識の階層構造に、やがて読者の意識も翻弄されていく……。
第3回日本文学館出版大賞ノベル部門大賞受賞作。
目次
CASE1・吉川雅樹
CASE2・上村麻衣子
CASE3・『仕舞』
CASE4・宮田章吾
CASE5・宮田麻衣子
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